ワープアウト

艦橋全部の大画面スクリーンがホワイトアウトから徐々に回復してゆく。ノイズのような数万もの観測セルがスクリーンを真っ青に染め上げてゆく。艦橋に緊張が走る。
あわただしく拡大確認を繰り返すセルの映像のほとんどはUGSFの艦隊の破壊された船体だった。異様な形にねじれたクロノス級とおぼしき船体がスクリーンを横切る。そして中心部に近づいていくにつれ、敵艦隊の残骸は少なくなっていった。あまりの高熱に蒸発してしまったのだ。

ホワイトアウトから回復し、全ての観測セルからの報告が表示される。
敵艦隊は数十隻を残して全て消失。残された敵艦も戦闘が可能な船は無かった。

驚きと、安堵のさざめきが船につつむ。

「勝った…」
「さすがは艦長…いや、『栄光の女神』!!」

驚きが歓声へと変わり、船全体に響く。
みずいろは苦笑いをしながら、艦長の席に座る。
もう、何日も座っていなかったかのようにその椅子は収まりが悪かった。

「また、生き延びたか」

レーダー担当が陽気な声で艦長に声をかける。

「レーダー、回復しました!…あれ?」
「どうした?」
「いえ……爆発の影響でしょうか、観測平面に揺らぎが見えるのですが…」

みずいろはレーダーを見た。
その揺らぎが徐々に強くなってゆく。

「まさか…そんな、バカな」

みずいろはその眼を疑った。
レーダーで観測可能な範囲、まるで宇宙全体に次元振動が起こっているようだった。

「振動波感知!!!これは、ワープアウトです!」

レーダーが一気に赤い光で飽和する。
血をぶちまけたようなそのスクリーンは、もはやレーダーの役割を果たしていなかった。全ての方向、全ての距離に敵艦が出現しているからだ。

呆然と立ちつくすクルー達。
その視線の先には、ワープアウトしてくる13個の巨大な光球。
絞り出すように、みずいろが呟く。

「……惑星破壊砲が……13機もあるのか…」